蕾~牡丹~松葉~柳~散り菊
こよりに火薬を練り込んだ小さな花火。俗にいう「線香花火」に関するタイトルなんです。
日本でよくみられるのは「長手」と呼ばれるもの。他に竹ひごや稲穂の柄の先に黒色火薬がむき出しに付着した「ズボ手」という種類があります。
そしてこの「ズボ手」の方が線香花火の最初のスタイルだそうで、江戸時代前期に上方地方で香炉に立てて公家の間で鑑賞されていたそうです。この香炉に建てられた姿が線香と似ていたので、線香花火と呼ばれるようになったとのこと。
やがて江戸に広まることになるのですが、肝心の稲穂の材料が手に入りにくいため、和紙のこよりを使った「長手」が登場することになり、それが現在のメジャーな線香花火となったという経緯があるのです。
かくいう私は、線香花火が一番好きな花火だったりします。テクニック次第で、長く火花を散らしてくれるし、子供にとっても安全な花火だと思います。でも、なんだかもの悲しさを感じてしまうんですよね。線香花火の燃え尽きる様相が、人の一生にも例えられることも少なくないようです。
『蕾(つぼみ)~牡丹(ぼたん)~松葉(まつば)~柳(やなぎ)~散り菊(ちりぎく)』
タイトルにもあるこれらの言葉は、線香花火の燃え方(温度の変化による)の様子を表している言葉なんです。初めて知りました。
一方で、意味が転じて「最初こそ勢いがあり華々しいが、すぐに衰えてしまうこと」というマイナスな表現にも使われます。
極めつけは「センコウハナビ(スカドクスス・ムルティフロールス)」というヒガンバナ科の花もあるということ。驚きばかりですので、気になった方は、是非、インターネットや図書館などで調べてみてください。