祈り、畏れ、捧げた ~ 特別展「古代メキシコ」前編

 祈り、畏れ、捧げた ~ 特別展「古代メキシコ」前編

特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」が、東京国立博物館にて開催されていましたので、足を運びました。

現在、メキシコには30を超える世界遺産が存在しており、スペイン人侵攻によって文明が滅ぼされるまでの約3000年間(前15世紀~16世紀)の古代の歴史は、いうまでもなく世界的に有名です。

今回の特別展では、独自の古代文明を築いた「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」の3つの文明が展示されていました。


【マヤ文明】
前12世紀頃から16世紀にかけて、メキシコのユカタン半島に存在した「マヤ文明」は、天文学が非常に発達していて、正確なマヤ歴を完成させていました。「高度な数学(20進法)」を用い、「0(ゼロ)の概念」も持ち合わせていました。

さらには、4万字にもなる「マヤ文字」も使用されていました。マヤのピラミッドは、一度は耳にしたことがある世界遺産だと思います。

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マヤ文明の代表的な都市国家「パレンケ」を築いたパカル王の妃とされる「赤の女王(600年~950年頃)」。発見時に遺体が深紅の顔料などに覆われていたことから名付けられたとのことです。

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「モザイク円盤(900~1000年頃)」は、木やトルコ石、サンゴや黄鉄鉱石から作られています。戦士が腰の後ろに着けていた鏡の飾りで、間近で観ると美しさが感じられます。

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「猿の神とカカオの土器蓋(600~950年頃)」は、彩色された土器で、猿の神を表していて、首から猿の好物である「カカオの実」をぶら下げています。カカオは飲料や通貨にも使われるほど、重要な交易品でした。


【テオティワカン文明】
テオティワカン文明は、メキシコ高原に前2世紀から7世紀までに存在した文明です。巨大な宗教都市テオティワカンには「太陽のピラミッド」や「月のピラミッド」といった世界遺産にも登録されている建築物があります。

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「死のディスクの石彫(300~550年頃)」です。テオティワカン文では、太陽が沈むのは、太陽が死んだと考えられていました。夜明けを迎えると、太陽は再生すると信じられていたのです。死のディスクの石彫は、死んだ夜の太陽を表していると考えられています。

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「鳥形土器(250~550年頃)」は、土器、貝、緑色岩で作られた華美な装飾が施された容器です。メキシコ湾岸部との交易に関係した商人の副葬品と言われています。

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「羽毛の蛇神石彫(200~250年頃)」は、羽毛の蛇のピラミッドの壁面に飾られている安山岩で作られた大石彫です。テオティワカン文明のピラミッドには、幾つもの羽毛の蛇神の石彫があり、羽毛の蛇神による戴冠式を表していると言われています。

ちなみにブログのタイトル画像は、テオティワカン文明の「嵐の神の壁画(350~550年頃)」です。鉱物顔料で描かれた壁面で、背負い篭と右手にトウモロコシをもっています。

メキシコ展の展示品のボリューム数には、圧倒されてしまいました。今回のその中の一部をご紹介しました。残すアステカ文明については、「後編」として、次回のブログ(https://www.mylevel.co.jp/cmb/post_97.html)にて、お届けしたいと思います。

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